年金の「繰上げ受給」「繰下げ受給」とは?

2016年08月23日

 
年金の受給時期を早めたり、遅くしたりできると聞いたのですが、どういうことなのでしょうか?


老齢基礎年金など、希望すれば受給年齢を変更して受け取ることもできます。
繰上げは、本来の受給開始年齢より早く受け取れますが受け取り額は減額され、繰下げは遅く受け取るかわりに増額となります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ライフプランにあわせて慎重に検討してください。

●繰上げ受給

(1)昭和16年4月2日以後に生まれた人

請求した月に応じて、下記の式で計算された減額率によって老齢基礎年金が減額されます。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

請求した月に応じた繰上げ支給の減額率
請求時の年齢 減額率
 60歳0ヵ月  30%
  61歳0ヵ月  24%
  62歳0ヵ月  18%
  63歳0ヵ月  12%
  64歳0ヵ月  6%

(2)昭和16年4月1日以前に生まれた人は従来どおりの減額率が適用されます。

請求時の年齢に応じた繰上げ支給の減額率
請求時の年齢 減額率
60歳 42%
61歳 35%
62歳 28%
63歳 20%
64歳 11%



◎繰上げ受給の注意事項

① 一旦繰上げると減額された支給率は生涯変わりません。また、取り消すことも変更することもできません。
② 配偶者が死亡し、遺族厚生(共済)年金が支給される場合は、65歳になるまでは繰上げ支給の老齢基礎年金と遺族厚生(共済)年金のどちらかの選択となります(65歳以降は両方受け取れす)。
③ 繰上げ請求をした後、障害の状態になっても障害年金を受けることができなくなります。
④ 寡婦年金(夫が生きていればもらえたはずの老齢基礎年金の3/4の額:60歳〜65歳になるまで支給)は支給されません。また寡婦年金の受給権はなくなります。
⑤ 特別支給の老齢厚生年金の長期加入者の特例措置や、障害者の特例措置は受けることができなくなります

※60歳になった日は60歳の誕生日の前日となります。たとえば、昭和23年5月2日から昭和23年6月1日生まれの人の場合、平成20年5月中に 繰上げ支給の請求をすれば、請求時の年齢は60歳0カ月とされ、平成20年6月中に請求をすれば、請求時の年齢は60歳1カ月となります。



繰上げ支給の老齢基礎年金は、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」と「国民年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を提出します。

※老齢基礎年金の繰上げ支給のときの繰上げ請求書
※65歳未満の者に支給される老齢厚生年金を受け取る権利がある方の繰上げ請求書


●繰下げ受給

(1)昭和16年4月2日以後に生まれた人

請求した月に応じて、下記の式で計算された減額率によって老齢基礎年金が減額されます。

増額率=0.007%×(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)

請求した月に応じた繰上げ支給の増額率
請求時の年齢 増額率
 66歳0ヵ月  8.4%
  67歳0ヵ月  16.8%
  68歳0ヵ月  25.2%
  69歳0ヵ月  33.6%
  70歳0ヵ月〜  42.0%

(2)昭和16年4月1日以前に生まれた人は従来どおりの増額減額率が適用されます。

請求時の年齢に応じた繰上げ支給の増額率
請求時の年齢 増額率
66歳0カ月 12%
67歳0カ月 26%
68歳0カ月 43%
69歳0カ月 64%
70歳0カ月 88%



◎繰下げ受給の注意事項

①繰下げて受け取るまでの間、振替加算(厚生年金を繰下げる場合は加給年金)は支給されませんし、また繰下げによる増額もありません。
② 繰下げ待機中に障害年金の受給権が発生した場合は、その月から繰下げするか、65歳からさかのぼって受け取るかの選択になります。
③ 増額率は70歳到達時以降、142 %で固定されます。
平成26年4 月からは、繰下げの受給の請求を忘れて72歳で繰下げ請求をした場合でも、70歳到達月の翌月分から年金を受け取れるようになっています。ただし、時効5 年で消滅したものは除きます。

※年齢の計算は誕生日の前日となります。たとえば、昭和31年5月2日から昭和31年6月1日生まれの人の場合、平成28年5月中に繰上げ支給の請求をすれば、請求時の年齢は60歳0カ月とされ、平成28年6月中に請求をすれば、請求時の年齢は60歳1カ月となります。




繰下げ支給の老齢基礎年金は、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」と「国民年金・老齢基礎年金支給繰下げ請求書」を提出します。

※老齢基礎年金の繰上げ支給のときの繰下げ請求書


●繰上げ・繰下げ受給の受給率表







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