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厚生年金未加入とは? 厚生年金未加入を許すな!でも、株式投入も止めて欲しい

2016年01月27日

厚生年金の未加入者問題が取り上げられています。厚生年金加入の対象者なのに、国民年金に加入している人が、老後、低年金者となるのを是正するために、政府が対策に乗り出すというものです。

企業が厚生年金から逃れるのを許すな
会社員のための公的年金である厚生年金に加入すべきなのに、加入していない人が200万人もいる。そんな推計を政府がまとめた。これらの人は自営業者などの国民年金に加入しているという。
法人事業所と従業員5人以上の個人事業所はすべて厚生年金や健康保険に入らなければならない。ところが、特に中小零細企業が経営難を理由にして加入しないことが珍しくない。厚生労働省は約79万の事業所が違法に加入していない可能性があるとしている。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO96493580V20C16A1PE8000/

年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの運用損について、度々問題にしてきましたが、企業の厚生年金逃れについても、あながち関連がないとはいえないようです。
年金制度は「恩給」からスタートし、労働者の年金、国民年金と職域ごとに年金制度が制定されていたものを、財政基盤が不安定になったことや、加入している制度によって生ずる給付と負担の不公平を是正する、等ということから統合されてきたという歴史があります。
厚生年金と共済年金が2015年10月より一元化されましたが、これも共済年金の財源の縮小に対応するための統合ともいわれています。
2016年1月28日、少し落ち着いたかと思えた株価はまた、400円以上の下落となりました。年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの資金投入だけではなく、「日銀も年始から立て続けに300億円以上の巨額マネーを日本株の買い支えに動いていた」という情報もあります。(現代ビジネス) http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47530?page=2
そこで、運用損を出している、年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの積立金を上積みしようという手段が「企業が厚生年金から逃れるのを許すな」なのではないかという疑念です。
厚生年金未加入の事業所は、中小零細企業が多いといいます。「トリクルダウンなんてあり得ない!」と推進論者の本人が発言している今、トリクルダウンの恩恵など全く受けていない中小零細企業にとっては、止むを得ない選択の場合もあるかもしれません。ブラック企業に対しては、論外ですが、株価対策があるのだったら、これも論外だといえましょう。
年金制度の充実のために政策を進めてもらいたいものです。


人工透析を行っている方へ 障害年金の受給確認

2016年01月12日

日本年金機構より、以下の発表がありました。
平成26年3月に、人工透析を行っている方について、誤って年金額の低い3級の障害厚生年金として決定し、支給していた事案が判明しました。
調査の結果、障害認定に誤りがある方が判明したというものです。
人工透析を行っている場合の等級判定の基準は、平成14年4月から原則3級だったものが、原則2級(主要症状、検査成績、日常生活状況等によってはさらに上位等級)に改正されました。
(注 昭和61年3月以前に障害年金の受給権が発生する方は、人工透析を行っている場合であっても3級での認定となります。)
日本年金機構では、誤った障害認定をした方には、正しい年金額の支給に向けた対応をとるとともに、同様の事案の再発防止に務めるということです。
ご自分が事案に該当しないか、また、人工透析を行っている方で、支給要件に該当する方は、障害年金を受け取ることができますので、最寄りの年金事務所にご相談ください。
詳細は、最寄りの年金事務所へ。
日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2015/0112.html


年金制度を知ろう!年金問題は全ての世代の問題だ

2016年01月06日

明けましておめでとうございます。
今年も年金を中心としたニュース・情報をご紹介します。
どうぞよろしくお願いいたします。



年明けから世界的に株価は急落、中東では新たな火種と、「申年は動きの活発な年」といわれるそうですが、その言葉通りの幕開けとなりました。
年金にからんだニュースも、新年はじめとして、明るい話題とはいえませんが、これをきっかけに、世代を超えて、年金に関心をもっていただきたいと思い、取り上げました。

離婚、認知症、孤立…銀行員を襲った老後の貧困
「下流老人」藤田孝典さんインタビュー
自分が年金をいくらもらえるのかを知らない人、意外と多いんです。でも、ここはとても大切です。というのも、高齢者の8割は「年金しか収入がない」から です。老後の暮らしを年金に頼るしかない。ならば、もっと権利意識を持ってもらいたいのです。年金の支給額も下がっていますし、中高年の方は年金問題を高 齢者の問題と思わず、自分の問題として注意深く見てほしいですね。
そして、いざ危機が迫ったときに、頼れる社会保障制度を知っておいてください。
(毎日新聞 経済プレミア)
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160104/biz/00m/010/012000c


『下流老人』は、おそらく藤田さんのソーシャルワーカーとしての現場体験をもとに書かれたものでしょうが、ここでも、一般的なサラリーマン、むしろ恵まれていたともいえる人が、ちょっとしたきっかけで老後の貧困に陥っていくという実例をあげています。年金をはじめとする社会保障制度の重要性を知る藤田さんならではの発言だと思います。
年金は、藤田さんのおっしゃるように高齢者の問題ではなく、年金制度加入者、ひいては、全国民に亘る問題です。年金に関わることを、まず知って、制度について考えていきたいと思います。年金問題を世代を超えて考えていただけるよう、今後も情報をお届けしたいと思っています。


ねんきん定期便 しっかり確認!

2015年11月24日

ねんきん定期便、別人の記録 日本年金機構
日本年金機構は、20日、年金記録などを加入者に毎年1回知らせる 「ねんきん定期便」に印刷ミスがあり、別人の記録を最大で8千件送ったと発表した。おわび文書とともに、正しい内容のものを再発送する。
 機構の説明によると、定期便は表面に宛名を印刷した後、裏面に年金記録を印刷する。だが、委託先の機械の不具合で表裏の印刷がずれ、今月9日に郵 送した定期便のうち西日本に住む40〜44歳の一部に他人の記録が載ったという。裏面の印刷内容だけでは個人は特定できないとしている。
(朝日新聞DIGITAL)
http://www.asahi.com/articles/ASHCN5G4NHCNUTFL00H.html
 
ねんきん定期便は、平成21年4月から、厚生年金、国民年金の被保険者を対象に、誕生日月に送付されています(1日生まれの方は前月に送付)。
ねんきん定期便には、毎年誕生日月に送られてくるハガキのもの(平成24年4月から送付)と、節目年齢(35、45、59歳)に送られてくる封書のものとあります。
今回のミスは、ねんきん定期便の「表裏の印刷がずれ」と、あるので、ハガキのものでしょう。
ねんきん定期便では、「これまでの年金加入期間」があり、漏れや空白期間がないかチェックできます。また、50歳以上の方には、現在の仕事を60歳まで続けた場合の「老齢年金の見込額」が試算されています。老後の生活設計の目安ともなるでしょう。日本年金機構の失態続きも困ったものですが、皆さんもご自分の記録はご自分でしっかり確認しておきましょう。
詳しいチェックポイントなど、知っ得年金 年金を知る「ねんきん定期便とは?」をご参照ください。


「年金」!地方創世の鍵がここに!?

2015年11月17日

地方経済が衰退しているといわれて久しくなりましたが、地方経済が今や「年金」に支えられているという実態を検証した記事がありました。
発想を転換すれば、「年金」が地方創世のきっかけになるかも知れません。

地方経済「年金頼み」
地方創世が掲げられています。地方の経済発展なくしては日本の成長はあり得ません。しかし、地方の現状は、都道府県民所得に占める年金の割合が年々、高まるなど社会保障給付に依存しています。今後、高齢化が進むなか、果たして地方の経済を活性化できるのでしょうか?
大図解シリーズNo.1225(東京新聞)

年金が、都道府県民の所得に占める割合が、最も高いベスト1は、島根県(20%以上)、最も低いベスト1は、東京都(7%)で、10%を割っているのは、東京都だけ。首都圏、愛知、大阪、滋賀など以外は、平均より高い割合の県が全国的に広がっています。更に、年金が、家計の支出額に占める割合が高いのも、島根県がトップと、全国平均を上回っている地方は、年金が、都道府県民の所得に占める割合が高い地方とほぼ重なっています。
一方、年金合計額は、2015年、マクロ経済スライドスタートにより、実質年金額は目減りした結果でしょうか、東京への人口集中が進んでいるからでしょうか、都道府県民の所得に占める割合が高い地方とま逆に、東京都がトップ、島根県その他が少なくなっています。
地方経済に占める年金の割合が高ければ、年金合計額が減れば、地方経済が衰退していくのは当然ではないでしょうか?
年金が、所得に占める割合が高く、年金が消費に占める割合が高いなら、年金額を増やせば消費が活性化していくきっかけになるのではないでしょうか?
「年金制度」は所得の再分配です。トリクルダウン論は、もはや世界的に間違いだったといわれています。『コンクリートから人へ』という言葉が昔ありましたが、お金の流れを『企業から個人へ』と返還させたらどうでしょう。記事のまとめとして小島茂氏(連合綜合生活開発研究所副所長)は「年金の役割を再確認し制度の持続性を」とおっしゃっています。
地方創世の鍵は、年金が握っているかもしれません。


「ねんきん月間」です。

2015年11月04日

日本年金機構は、厚生労働省と連携して、11月を「ねんきん月間」として公的年金制度の啓発活動をしています。

11月はねんきん月間です
(厚生労働省 日本年金機構)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000027704.pdf

日本年金機構の主な目的は、保険料の納付率を上げることかもしれませんが、この機会に公的年金など、公的社会保障制度について検証してみましょう。
働く女性の立場を考えた記事をご紹介します。

働く女性だからこそ!将来のリスクに必要な備え
女性の社会進出が進む現在、独身者でも既婚者でも働く女性は増加傾向にあります。働く女性であれば職場での責任も全うし、何があっても自分の人生をしっかり歩めるようなリスクへの備えが必要です。しかし、万が一の備えが必ずしも「保険商品」ではありません。
(JIJICO山中信枝)
http://jijico.mbp-japan.com/2015/10/29/articles18702.html


TVを見れば、さまざまな保険商品のコマーシャルが流れていますが、人生のリスクに対して、まず考慮すべきは民間の保険商品ではなく、公的社会保障制度を、と述べています。驚くことに、社会保険料は、健康保険、雇用保険、年金保険、40歳以上になれば、介護保険を合計すると、給与の15%もの割合のなるといいます。
これらの負担が公的社会保障を支えている訳で、健康保険では、1カ月間の自己負担額を一定に調整してくれる高額療養費制度や、病気で働けなくなった場合に出る傷病手当などがあり、病気が長引いた結果、仕事を辞めたとしても給付されるそうです。
年金では、若い時に障害を負ってしまった時に該当する障害年金や、万が一のときには、残された家族を支える遺族年金もあります。
日本年金機構の度重なる不祥事で、年金に対する信頼が損なわれて、どうせ年金保険料を払っても…などと声もきかれますが、やはり国民のセーフティーネットが公的社会保障制度であり、年金制度です。民間保険はあくまで公的保険の補完として考えたいものです。

保険料の支払が大変な場合にもいろいろな制度があります。
知っ得年金「年金を知る」を参考にして下さい。

学生の保険料納付特例について

若年者納付猶予制度

保険料が払えないとき


年金などの社会保障費、過去最高というけれど…。

2015年10月30日

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は23日、2013年度、年金・医療・介護などの社会保障給付費が、前年度比1.5%(1兆6566億円)増の110兆6566億円となり、過去最高を更新したと発表しました。

社会保障給付費1.5%増の110兆円 13年度、過去最高更新
 国立社会保障・人口問題研究所は23日、2013年度の年金や医療、介護などの社会保障給付費が前年度比1.5%増の110.7兆円になったと発表した。高齢化で医療費や介護費が大きく膨らみ、過去最高を更新した。1人あたりの負担も増え続けており、給付の抑制が課題になる。
 社会保障給付費は税と社会保険料などを財源にした費用の合計で、病院の窓口で支払う利用者負担などは含まない。
  最も伸びが大きかったのは医療分野で2.1%増の35.4兆円。高齢化に加え、高度な医薬品や医療機器が増えているためだ。介護や失業手当などの福祉分野は1.5%増の20.7兆円だった。年金は1.2%増の54.6兆円にとどまった。13年10月に過去の「もらいすぎ」の解消として支給額を1%下げたためだ。( 日本経済新聞 )
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H3J_T21C15A0EE8000/


110兆6566億円!! と聞くと、ますますの高齢化に向かって、社会保障はどうなってしまうのだろうか? 「下流老人」やら「老後破産」などという話題も多い中、不安が増すばかりでしょう。
しかし、少し落ち着いて社会保障給付費の財源は?と見てみると…
社会保険料が49.6%。公庫負担が33.9%。GPIFなどの資産収入(12.4%)を含む他の収入が16.6%となっています。

平成25年度 社会保障費用統計
表11 項目別社会保障財源
(国立社会保障・人口問題研究所)
http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h25/H25.pdf

社会保険料でほぼ半分、税金は3割強、後は年金運用で賄っているということです。当然といえば当然ですが、自分で自分の面倒をみているということで、高齢者も年金受給者も、健康保険料や介護保険料を払っていますから、そんなに肩身の狭い思いをしなくてもいいのではないでしょうか?
更に見てみると、社会保険料の伸び率が2.5%、公費負担の伸び率が1.1%、とあり、他の収入はマイナス8.9%となっています。社会保険料が値上げされ、負担が増えているにもかかわらず、何故、他の収入ー資産収入もマイナス1.2%なのでしょう。平成25年度は資産運用に失敗したのでしょうか?

平成25年度 業務概況書
運用状況の概要
年金積立金管理運用独立行政法人
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h25_q4.pdf

平成25年度の運用状況は、「収益率は、全資産において8.64%のプラスとなりました。」「収益額が、全資産においてプラスとなり、10兆2207億円となりました。」とあります。儲けていたのなら、何故マイナスにしたのでしょう? 高リスクを侵してまで運用益をめざしているGPIF、せめて、社会保険料の国民負担分を押さえるように使って欲しかったものです。
社会保険料の伸び率に比べ、公費負担の伸びは1.1%、4782億円。今年になって、米軍機オスプレイの言い値買い上げに5年で30兆円とか、海外訪問でポンと2兆円とか、税金の大盤振る舞いの話を聞きます。その一部でも国民のサーフティネットである社会保障費に充てられたらいいのでは?と思います。また、社会保障財源自体は伸び率0.0%、つまり増減なしだったと付け加えておきます。
社会保障給付費が過去最高更新!となると、財務省やエコノミストがこぞって、消費税増税、保険料の値上げ、年金などの削減と、国民にとっては、厳しい政策を出してきそうですが、国民に負担を強いる前に、税金の再配分について検討すべきときがきているのではないでしょうか。官僚がもっとも手を着けたくないところかもしれませんが…。平成26年、消費税増税分が社会保障費に充てられた筈なので、その結果を待ちましょう。
国民が納めたものは、国民のために使うというのが当然といえば当然なのではないかと思います。


障害年金 がんや糖尿病も!? 日本の社会保障制度は凄い!

2015年10月13日

TPP大筋合意とマスコミでは喧伝され、日本では、今にもスタートするような報道がなされています。しかし、これから、それぞれの国での国会論戦がはじまるのであり、細部は何も決まっていない、ともいわれています。TPPで最も問題なのは、単なる農業などの非関税障壁のことではなく、知的財産権や企業が国家を訴えることができるISD条項、ひいては医療・介護・年金などの公的社会保障制度の崩壊が懸念されていることではないでしょうか。

がん治療のほとんどは健康保険が使える
 たとえがんになっても、健康保険、国民健康保険が利くケースが多いので、費用面ではそれほど心配はいりません。健康保険の対象とならない重粒子線 治療や陽子線治療など約300万円前後かかる先進医療の治療費が心配だという声もありますが、全国のがん患者153万人のうち、こうした治療を受けている のは2400人ほどで、全体の0.16%。ほとんどの人は健康保険対象の治療で治しています。
 さらに、がんの治療が長引くなら、障害年金を申請すればもらえる可能性があることも知っておきましょう。
 障害年金は、病気やケガなど身体に障害を受けた人が受給できる年金で、がんなどでも、人工肛門(こうもん)をつけるなど身体の機能が目に見えて変わったときでないと受けられないと思っている人は多いようです。
 けれど、外からは見えにくい抗がん剤での倦怠(けんたい)感や貧血、下痢、嘔吐(おうと)がある場合なども対象となるので、覚えておきましょう。
(朝日新聞DIGITAL)
http://www.asahi.com/and_M/living/SDI2015100740511.html

日本は「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療が受けられる国民皆保険制度です。制度の確立からすでに50年以上も経ち、私たちは、国民の誰でも保険証1枚で、どの医療機関にもかかれることが当たり前のようになっていますが、世界では民間医療中心の国や無保険の国民が多い国もあります。世界でトップクラスの長寿国、乳幼児の死亡率が低い、というのもこの制度のたまもので、世界一の医療保険制度といわれているのです。
「日本の医療費は意外に安い」。日本の医療保険制度では、一般的に3割負担で、医療が受けられます。記事にもあるように、がん治療にも健康保険・国民健康保険が使えます。また、「高額医療費制度」という自己負担額が一定額を超えた場合に、超えた分が戻ってく制度もあり、良質な医療が世界的にも安価に受けられるというわけです。
障害年金についても、「眼や耳、手足などの障害だけでなく、がんや糖尿病などの病気などの病気で長期療養が必要な場合でも支給の対象になる」ということをご存知でしたか?
障害年金とは、病気やけがなどで障害状態になったとき、私たちの生活を支えるために支給されるものですが、障害状態とは、目に見える障害だけではなく、がんや糖尿病、高血圧、呼吸器疾患などの内部疾患により、長期療養が必要で仕事や生活が著しく制限を受ける状態になったときなど、目に見えない障害も含まれるのです。厚生年金、国民年金とそれぞれ支給要件はありますが、民間の保険とは違い、障害の状態が続いている限りはもらい続けることができるというのもポイントです。
年金は老後のものというだけではありません。
日本の社会保障制度はなかなかの優れものです。この際再評価してみませんか。

知っ得年金 年金を受け取る「障害年金をもらいたい」

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「漏れた年金」問題、年金機構再生本部で大丈夫?

2015年10月07日

年金情報流出問題で、厚労省大臣より業務改善命令を受けた日本年金機構は、水島理事長をトップとする「再生本部」を設置しました。その初会合の中で、水島理事長は「最後の再生のチャンスだ」と述べ、職員に対し再発防止に向けた取り組みに万全を期すよう指示したということです。

年金機構、12月初旬に改善計画提出 情報流出巡り
日本年金機構は6日、年金情報の流出問題を受けた業務改善計画をつくるため、日本年金機構再生本部の初会合を開いた。流出問題の原因とされた組織 としての一体感や、現場を指揮する幹部職員のリーダーシップを強化するための改善策などをまとめる。12月初旬をメドに監督官庁の厚生労働省に提出する方 針だ。(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H71_W5A001C1EE8000/

しかし、内部に置かれた機関だけで、業務改善ができるのでしょうか?
2010年、総務省に設置された「年金業務監視委員会」の委員長だった郷原信郎氏は、2014年3月、その委員会が廃止される際、「厚労省や年金機構の外部に、年金業務を監視する機関が必要である」という意見を、委員会として取りまとめ、総務大臣にも意見具申したといいます。
「年金業務監視委員会」の存在は、日本年金機構組織の根本的問題や、機構を監督する立場の厚労省組織の体質の問題を具体例を通して指摘することにより、また、議事録をマスコミなどにもフルオープンにするなど、外部機関として、日本年金機構や厚労省に緊張感を与えていたということです。
2015年「漏れた年金」問題が発生したことについて、「外部機関による年金業務監視の必要性を訴え続けてきた私の懸念が現実の問題となってしまったことは誠に残念だ」とおっしゃっており、監視体制がなくなってしまうと起こりうると懸念されていた訳です。
日本年金機構内におかれた「再生本部」では、この懸念は払拭されないのではないでしょうか? 私たちの大切な年金について「掛け声」や「建前」では困ります。やはり外部機関による検証・監視が必要なのではないでしょうか? 私たち国民の側からもこういった声をあげていく必要があるようです。

「お元気ですか8月号」知っ得年金をご参照ください。

※無断転載を禁じます。©(株)ビスタ



「マイナンバー」個人番号通知がはじまるが…。

2015年10月06日

マイナンバー制度の12桁の個人番号の通知が、5日からはじまりましたが、国民の多くが「安保法制』同様、「よく分からない」と答えています。

(マイナンバー)みんなに番号、生活どう変わる
政府のマイナンバー(社 会保障・税番号)制度が始まり、子どもからお年寄りまで一人ひとりに12桁の番号を知らせるカードが、今月半ばから来月にかけて届きます。どのような手続 きが必要で、どんな使い道があるのか。自身の情報が悪用されたり、流用されたりしないのか。様々な疑問点を読み解きます。(朝日新聞)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11999831.html

政府のもともとのねらいは、公正に税金を集めたり、年金を配ったりするのに、個人の所得を正確につかめば、年金の不正受給や脱税といった不正行為が防ぎやすくなるということ。また、「行政手続きが早くなる」と行政の効率化もうたっています。
マイナンバーは、2016年から個人の情報を、2017年からは国と自治体の情報システムをつなげるということですが、自治体のセキリュティは大丈夫でしょうか?
共同通信の調査によれば、「サイバー攻撃の」の標的になった地方自治体は少なくとも100にのぼり、攻撃を受けた自治体は44都道府県に上っていて被害が広範囲であるといいます。しかし、それに対応するには、莫大な費用がかかり、財政難のおりから対策はすすんでいないのが実情のようなのです。
マイナンバーは、個人で手続きするほか、企業や、学校、町内会でもまとめて申請できるといいますが…。

マイナンバー5日から通知 中小「準備完了」は6%(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H0E_U5A001C1NN1000/?dg=1
個人番号カード、町内会で一括申請も 高齢者に配慮(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H0X_U5A001C1NN1000/

個人情報保護の観点からは、このシステムはどうなのでしょうか?管理者への罰則は制定されていますが、家族の情報も含めて会社や、ましてや町内会という、いい意味でも悪い意味でも素人の個人的集団が情報漏洩を防げるのでしょうか?
日本年金機構の「漏れた年金」問題から、マイナンバーの年金との紐付けはとりあえず延期となっています。「漏れた年金』問題の対策も途上の今、正直一安心といったところです。なにしろ誰が責任をとるのかもハッキリしていないのですから。マイナンバー制度でも、もし何か問題が現実化した場合、誰が責任をとるのでしょうか? この辺のところも不安なところです。
マイナンバー制度は、今後、個人の財産や健康情報まで、広げることが考えられています。私たち国民にとって本当に必要なものなのか今後も検証が必要でしょうし、政府も拙速にすすめるのではなく、国民の信頼を得られることを、まず第一義に考えてもらいたいものです。

参照:『お元気ですか8月号』年金情報室
   「基礎年金番号」と結びつけられる予定の「マイナンバー」はどうなる?

※無断転載を禁じます。©(株)ビスタ



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