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年金一元化法が施行

2015年10月01日

平成27年10月より国家公務員、地方公務員、私立学校教職員が加入していたそれぞれの共済年金が廃止され、サラリーマンが加入する厚生年金に一元化されました。

共済年金廃止し厚生年金に 一元化法が施行
公務員や私立学校の教職員が加入していた共済年金を廃止して、サラリーマンが加入する厚生年金に一元化し、公務員などへの優遇が指摘されてきた年金制度の「官民格差」の是正を図るとした「被用者年金一元化法」が1日、施行されました。
「被用者年金一元化法」は、厚生年金と比べて保険料率が低く、支給額も優遇されていると指摘されてきた共済年金を廃止し、厚生年金に合わせる形で一元化す るものです。年金制度の「官民格差」の是正を図るとして、平成24年に当時の民主党政権のもとで成立し、1日、施行されました。(NHK NEWSWEB)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151001/k10010254101000.html


年金一元化の狙いは、これまで給付などが手厚いと指摘されてきた「官民格差」の是正が狙いといわれています。一方で、年々公務員の数が減少しているのに対し、共済年金受給者の数が増加しているため、将来財源が苦しくなる、そのための処置ではないかともいわれています。
また、一元化によって、公務員もサラリーマンも年金が2階建てになり、格差解消かとも思われますが、公務員だけには、「年金払い退職給付」という新しい年金がつくられるということもあり、不公平感が完全に解消されるかというと疑問の残るところです。

「お元気ですか10月号」知っ得年金をご参照ください。
『お元気ですか10月号』知っ得年金「年金一元化変更になる項目」
『お元気ですか10月号』知っ得年金「年金一元化変更にならない項目」等

※無断転載を禁じます。©(株)ビスタ



年金一元化ー詳しくは「お元気ですか10月号」で!

2015年09月28日

平成27年10月より年金制度の大きな改革が行われます。

一元化で年金の基盤を堅固に
公務員などが加入していた共済年金制度が10月から廃止され、厚生年金に一本化される。官民格差の是正が主な狙いだ。年金制度はより大きな単位にした方が環境変化の影響も受けにくい。これを機に厚生年金の安定に関係者は全力を尽くしてほしい。 (日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO92139340X20C15A9PE8000/


平成24年(2012年)8月、「社会保障・税一体改革」の年金改革関連法案である「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。被用者年金制度全体の公平性・安定性確保の観点から、共済年金制度を厚生年金制度に合わせる方向を基本とした、被用者年金を一元化する法律です。
それが、平成27年10月より、いよいよ施行されることになりましたが、具体的には、どこがどのようにかわるのでしょうか。
現行の厚生年金制度のに合わせるもの、共済年金制度に合わせるもの、また、変わらないものなどそれぞれあります。
『お元気ですか10月号知っ得年金』(10月1日発行)で詳しくご紹介しています。是非ご参照ください。


「後納制度」と「労働者派遣法」

2015年09月14日

平成24年10月1日から3年間、納め忘れた国民年金保険料を10年間まで遡って納めることが出来る「後納制度」が平成27年9月30日で終了します。
平成27年10月1日からは、後納期間が5年に短縮されます。

国民年金:追納可能期間が10年から5年に短縮
納め忘れた保険料をさかのぼって払える期間は通常2年間だが、民主党政権時代の2012年10月から3年間の時限措置として10年間に延長された。 その後、年金受給資格が得られる保険料納付期間が25年から10年になることに併せ、後納期間も5年に短縮したうえで、18年9月末まで特例を延長するこ とが決まっていた。
 ただ、受給資格の見直しは消費税を10%に引き上げると同時に行うこととなっており、17年4月に先送りされている。厚生労働省は増税時期まで 10年の後納期間を続けることも検討したが、今国会は改正労働者派遣法の審議などの懸案が優先されたため断念した。【堀井恵里子】(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150912k0000m040074000c.html

「後納制度」より審議が優先された「改正労働者派遣法」とは、どのようなものでしょうか?
これまでの「労働者派遣法」では、専門26業務を除いて、派遣期間は最長3年と定められ、一方、専門26業務は、派遣期間の制限はありませんでした。「改正労働者派遣法」では、専門26業務を廃止、派遣期間の制限を撤廃、1人の派遣労働者が同じ部署で働ける期間を3年に制限することになりました。
厚生労働省では、「派遣先に、いろいろな義務付けして、派遣労働者のキャリアアップを図るとともに正社員への道を開く」としていますが、現実的には、派遣先に直接雇用の依頼に応じる義務はなく、労働組合など働く側からは、「派遣労働の固定化につながる」と批判が上がっています。
安倍首相が「日本を世界で一番ビジネスがしやすい国にする」と宣言してすすめられた「改正労働者派遣法」。裏を返せば、働く側にとっては「世界で一番働きにくい国」「世界で一番人も技術も育ちにくい国」となるのではないでしょうか?
働く人々にとってデメリットのある「労働者派遣法」が、年金を増やすメリットのある「後納制度」を差し置いて審議され、採決されたことに疑念がもたれます。
「後納制度」の申請書をお持ちの方は、9月末までの早目の手続きを!


年金記録を確認しよう!

2015年09月10日

日本年金機構の年金情報流出事件(「漏れた年金問題」)に関して、8月の下旬「日本年金機構」「厚生労働省第三者委員会」「政府サイバーセキュリティ戦略本部」と3種類の報告書が提出されました。日本年金機構の体質やサイバー攻撃に対する対策など、問題山積の状態です。
一方、2007年「消えた年金」問題では、「年金記録問題報告書」が出され、6月には「総務省第三者委員会」が業務を終了し、新制度に移行しました。約5000万件の年金記録のうち約3000万件が解明されたということからですが、まだ、約2000万件が解明されていないのが実情です。(参照:「お元気ですか8月号」知っ得年金)

年金記録問題 確認手間取り支給に1年 高齢者「時間ない」
 二〇〇七年に、確認ができない大量の年金記録が発覚した問題で、国が紙台帳とコンピューター記録を照合する作業は一四年三月末にほぼ終わり、今年六月に は訂正記録を審査する第三者委員会も廃止された。ただ、持ち主が分からない五千万件のうち二千万件は、今も手がかりがないなどで未解明。記録が見つかって も支給されるまでの期間が長びいており、中には受け取る前に亡くなるケースもある。 (小林由比)(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015090602000112.html

東京新聞 大図解(No.1215)「年金記録問題」によれば、
年金記録問題に要した経費は4200億円以上投入。これからは予算は大幅に削減とあり、「年金記録問題の節目となった2014年4月以降、記録訂正の場合、請求から受給までの平均時間が大幅に延びるようになりました。」となっています。
平成27年10月1日からは、厚生年金と共済年金が一元化されますが、一元化にともない、ますます作業が遅れるのではないかとの懸念もいわれています。
(「年金一元化」については、『お元気ですか10月号 知っ得年金』で詳しく解説します)
そんな中、こんな問題も出てきました。

フザけるな、年金機構!「年金払いすぎたので、200万円返して」だと
なけなしの給料から長年、掛け金を出し老後のためにと備えてきた。その年金を「すいません、金額、間違ってました」と言われる人が続出している。あなたにも明日、その連絡が来るかもしれない。(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45164

国や行政はミスを犯しても責任はとらず、「年金の過払い請求」などは、わたしたち国民が責任を負わされる形です。では、私たちはどのように対応したらいいのでしょうか?
やはり自助努力が一番のようです。自分の年金情報は人(日本年金機構)任せにせず、自分でチェックしておきましょう。
毎年1回誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」やインターネットの「ねんきんネット」で自分の生年月日や加入歴の記録照会をこまめにチェックすることが大切です。自分や配偶者の年金記録を確認するのに、一度くらいは、年金事務所を尋ねることも。間違われてからでは取り返しがつきません。「自分のことは自分で」これが最も懸命な対応のようです。


「年金詐欺」続出!? 日本人は詐欺にかかりやすい?

2015年09月07日

日本年金機構の「漏れた年金」、年金情報が流出した問題で、懸念されていた「年金詐欺」が続いているようです。

年金事務所かたる不審電話相次ぐ 沖縄県警が注意喚起
沖縄県警は2日、名護市内の60〜70代の高齢女性宅に男性の声で年金の払い戻しや年金手帳について問い合わせる不審電話が相次いだとして、同様の電話に応じないよう注意喚起した。 (沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=131228

幸い「年金詐欺」 の実害は少ないようですが「年金詐欺」のような、いわゆる「オレオレ詐欺」の件数が、これほど注意喚起されているにもかかわらず、 いっこうに減らないのは何故なのでしょうか?
警察をはじめ金融機関などで、様々なシュミレーションを提示していますが、 敵もさるもの(?)新たな手法で、新たなパターンが起こってくるので、イタチごっこが続いているとはいえます。
一方、世界でも「オレオレ詐欺」は通用するのか? 日本人特有の事件ではないかという懸念があります。
まず、古くは町や村での一つの単位だった「五人組」や会社や組織に帰属する「滅私奉公」といわれる生き方。「和を持って尊し」といえば、美しいですが、裏をかえせば「自分の頭で考える」ということが少ないように思われます。教育においても、ますます「答えを早く出す」HOW TOに重きがおかれ、「問題を考える」WHY?が追究されていないからではないでしょうか。
「権威や肩書きに弱い」という点も挙げられるでしょう。「新国立競技場」や「五輪エンブレム」においても、「世界的な専門家」とか「その道の重鎮」という権威や肩書きに国民はすっかり騙され、もしネットなどでの世界的な情報がなかったら、そのまま進んでしまったかもしれません。
「世界一安全で平和な国」。スーパーで買った荷物を置きっぱなしにしても、財布を落としても、そのまま手つかずにある、という幸せな 国でした。しかし、グローバル化がすすむ中、犯罪は一番急ピッチにグローバル化しているのでしょう。
「オレオレ詐欺」はこれからも新手のものが出てくるでしょう。ついこの間成立したばかりなのに、「マイナンバー詐欺」の話さえすでに出てきているといいます。「マイナンバー」においては、年金情報以上に、さまざまな個人情報を管理するため、「オレオレ詐欺」の格好の材料かもしれません。いずれにしても、●自分の頭で考える ●権威や肩書き(警察官とか弁護士とか日本年金機構とか)に惑わされない ●何故WHY?と問う習慣をつける ●犯罪はグローバル化していると認識する と考えることが必要でしょう。
それでも「判断がつかない」「どうしていいか分からない」時は、慌てて動かず、家族や知人、関係機関に躊躇せず相談しましょう。年金詐欺など不審な電話があった場合はこちらまで。
日本年金機構専用電話窓口(コールセンター) フリーダイヤル 0120-818211 
警察相談専用電話 ♯9110


世界株式市場の動向で年金はどうなる?

2015年08月27日

年金ー「消えた年金」「漏れた年金」こんどは「消された年金」か?
世界同時株安のニュースを受け、年金が心配されます。最近の調査で、年金を株に投入しているということを「知らない」という人が6割というのには、驚かされましたが、2014年、 民主党の長妻代表代行が提出した「GPIFにおける年金積立金運用リスクの想定損失額等に関する質問」に対して、2015年1月に出された 政府答弁書に、もし仮にリーマンショックのような事態が起こったら、損失額は26兆円以上にのぼるというものだったということは、大変な驚きでした。今回はこれにあたらないのでしょうか? 2007年「消えた年金」から2015年「漏れた年金」問題へ。今度は「消された年金」か? という声も上がっていますが、笑えないものの説得力のあるネーミングです。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) はクジラ?
26日、27日と中国の金融緩和策を受け、NYダウ、東証も反発し、一息つきましたが、専門家は中国市場の不安定さから株価は不安定な状況が続くと見ています。

25日は、世界市場の混乱を象徴するような激しい値動きで、平均株価は700円を超える大幅下落となりました。午前中は800円近く下落した後、一気に 1000円近く値を戻したことから、マーケットでは年金基金のGPIFが大量に株を買ったのではないかという憶測も飛び交いました。ただ、中国経済への不 安は払拭されず、半年ぶりの1万8000円割れとなりました。為替も乱高下しています。円相場は一時、1ドル=116円台と7カ月ぶりの円高水準となった ものの、その後、一時、120円台まで円売りが進みました。あるエコノミストは「中国政府が追加の金融緩和やインフラ投資など思い切った景気刺激策を打た なければ、混乱は収束しないだろう」と分析しています。また、マーケットでは、日銀による追加の金融緩和への期待感も強まり、様々な思惑が株や為替の乱高 下につながっています。ただ、この株安の出口は見えず、激しい値動きは当面、続くとみられます。 (テレ朝NEWS)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000057438.html


気になるのは、「マーケットでは年金基金のGPIFが大量に株を買ったのではないか 」というところ。130兆円を超える公的年金資金の5割を株式運用している GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は世界最大の機関投資家といわれています。

これまでの株価上昇は、比較的売買高が少ない日本株式市場 にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) のような巨額な資金が投入されたことによるともいわれています。「クジラ」という最近聞かれる言葉は、日本株式市場 のような小さな池に、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) のような大きなクジラが投入されたというように、主にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を指します。

世界の株式市場がまだまだ不安定な中、「クジラの資金がそろそろ底をつくのでは?」などという声も上がっています。日本の株価がどうなるかどころか年金がどうなってしまうのか? 日本年金機構の問題と同時にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はこのままでいいのか? 問題はないのか? 様々な日本の機構にメスを入れる時期がきているといえるでしょう。


「年金情報」が紐付きとなるマイナンバーのここが問題②

2015年08月24日

「漏れた年金問題」による年金情報の中で、基礎年金番号が流出した方に、日本年金機構は、新しい基礎年金番号の送付を決め、その発送が24日から始められたということです。

新番号記載の年金手帳 きょうから郵送
日本年金機構のシステムから大量の個人情報が流出した問題を受けて、機構は、流出した情報を悪用して本人になりすまし年金を受給するといったケースを防ぐため、基礎年金番号の変更に向けたシステムの改修作業などを進め、このほど作業が完了しました。
これを受けて、機構は24日から、基礎年金番号を変更したことを知らせる文書と、新しい番号が記載された年金手帳や年金証書を、簡易書留で郵送することにしています。
対象となるのは、個人情報が流出したおよそ101万人のうち、住所が確認できているおよそ96万人で、来月中には全員に発送するということです。
また、今回の基礎年金番号の変更によって、年金の受け取り口座を変更する必要などはないということです。
一方、住所が確認できていない加入者に対しては引き続き、確認作業を続けることにしています。
機構は、情報流出について電話やメールで直接連絡したり、基礎年金番号の変更のために手数料などを請求したりすることはないとしていて、不審な連絡や疑問な点がある場合は、各地の年金事務所の窓口や専用ダイヤルに相談してほしいとしています。
(専用ダイヤル0120―818211) (NHK NEWSWEB)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150824/k10010200061000.html


新しい基礎年金番号は96万人へ「簡易書留で送付」ということです。簡易書留は、サインや印鑑が受け取りの確認に必要であり、もし本人に手渡せなかった場合は、郵便局が 原則1週間預かるというものです。96万人でも大変なのに、10月から始まるマイナンバーを記した通知カードの送付は、5400万世帯という前例のない配達プロジェクトとなります。通知カードの郵便書留は、市区町村長から住民票の住所に送付されます。不在がちの人や、住民票と現住所が違っていたり(学生など) 、特別な事情(DV被害者など)など、受け取れない人が、郵便局へも行けない場合、発送元に戻されることになります。関係者によれば、1〜2割が差し戻されるのではないかと心配しているといいます。

約267億円がこの事業に投じられるといいます。日本年金機構同様、多くの自治体のセキリュティー対策は不十分であるという総務省の調査もあり、セキリュティー対策 などの初期投資だけでも数千億円かかるともいわれています。

日本年金機構が発表した内部調査でも、監督責任がある厚生労働省や国の責任には触れられていませんでしたが、マイナンバーにおいては、責任の所在はハッキリしているのでしょうか? 

当分の間、「年金情報」とマイナンバーの紐付けは凍結されます。



「年金情報」が紐付きとなるマイナンバーのここが問題

2015年08月22日

20日に日本年金機構は「漏れた年金問題」についての内部調査を公表しましたが、情報セキュリティー対策の弱さ、根強い構造的欠陥が改めて認識されたということで、今後どのように改革されるのか? 改善されるのか? 不安が払拭されるというのには、程遠いものでした。

マイナンバー、年金番号との連結延期へ


 来年1月に予定されていた共通番号(マイナンバー)の基礎年金番号との連結が、延期される見通しとなった。
 21日の参院内閣委員会の理事懇談会で、民主党が提案し、与党が大筋で受け入れた。これを受け、参院で審議中の共通番号制度関連法改正案は一部修正のうえ、今国会中に成立する可能性が高くなった。
 連結の延期は、日本年金機構の個人情報流出で、情報管理体制への懸念が出ていることを受けたものだ。延期期間を利用し、機構に個人情報保護の強化や業務の透明化を促す。
 新たな連結時期は別途、政令で定める。民主党の提案は最大で1年5か月延期できる。ただ、政府は2017年1月からマイナンバーを年金保険料の納付や支給手続きに利用する方針で、半年程度の延期に抑えたい考えだ。(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150822-OYT1T50051.html

 日本年金機構の内部調査発表を受けてもあってか。年金情報との紐付けは延期になりました。
マイナンバーについては、年金情報だけではなく、預金口座、いずれは、戸籍や健康情報まで組み込もうとしていますが、国が個人情報の大部分を把握できるようになる不安、個人情報漏洩の懸念の問題が挙げられます。
「年金漏洩問題」で揺れている日本年金機構もさることながら、国の情報さえもアメリカにダダ漏れだったとか。外交交渉の相手国に情報が筒抜けだったのに、怒りもせず、驚きもせず、対応したこの国の情報セキリュティー対策は大丈夫なのでしょうか? 
「情報漏洩の懸念」がある「国が個人情報を管理する不安」がある、こんな問題を抱えたままマイナンバーは、いよいよ10月から通知がはじまります。前例のない配達プロジェクトについては、次回お話します。


「年金情報漏洩問題」調査結果発表を見ても不安

2015年08月21日

日本年金機構は、20日「年金情報漏洩問題」に関する内部調査の報告書を発表しました。
報告書によると、サイバー攻撃を受け、対応ミスが決定的な要因だったと分析。 ネット遮断など適切な対応が出来なかったこと、パスワードの設定などのルールも守られていなかったなど、情報セキリュティー体制の弱さ、組織内の風通しの悪さが、流出を食い止められなかった要因としています。

年金情報流出 年金機構に「組織的な問題」
サイバー攻撃を受けて、およそ125万件の個人情報が流出した問題で日本年金機構はきょう、内部調査の結果を公表し、情報管理の意識に欠けていたことが被害を拡大させたとして謝罪しました。内部調査の報告書では情報管理ルールが現場で徹底されず、情報流出を拡大させる一因になったことや組織として「構造的な問題」があることを認めました。ずさんな管理や入力ミスで約5,000万件の年金記録がわからなくなった「消えた年金」問題など、年金をめぐる問題は今回だけではありません。「消えた年金」の背景には日本年金機構の前身である旧社会保険庁の「三層構造」といわれる縦割りの組織のあり方がありました。三層構造」は年金機構でも変わらないと「消えた年金」問題を検証した専門家はいいます。日本年金機構は今後、組織改革に取り組む方針です。(テレビ東京 WEBニュース)
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_95960


旧社会保険庁の「三層構造」」とは、職員が①厚生労働省からの出向者②社会保険庁採用者③社会保険庁の地方採用者と3つに分かれていたことをいい、この間の意思疎通がなく、責任の所在があいまいだったため、「消えた年金問題」の元凶になっていたといわれています。旧社会保険庁が解体され、日本年金機構が発足した要因ですが、現在、年金機構に移行した後に採用した職員も加わり、四層、五層構造になっているのではないか? と指摘する声もあり、ますます情報共有がより難しい組織になっているようです。

日本年金機構の水島理事長は、「再発防止に全力を尽くす」と記者会見し、再生本部の新設も発表されましたが、五層、六層構造になったりしないか? 今度こそ機構は再生できるのか? 国民の注視が必要でしょう。

情報漏洩のため基礎年金番号を変更した方には、24日から簡易書留で発送を始め9月中に全ての方に届けるということです。



「年金制度」と「戦争」ー終戦70年をへて考えるー

2015年08月17日

年金制度と戦争? と聞くと、奇異に思われる方も多いかと思いますが、そもそも民間の公的な「年金制度」は戦費調達のために考えられたシステムだともいわれています。
広島被爆記念日(8月6日)に続いて行われた8月9日長崎被爆記念日での田上長崎市長の「平和宣言」には、世界中の人々から賛同の声が上がりました。その日の東京新聞(世界と日本 大図鑑シリーズNo.1211)に「年金制度と戦争」という特集記事がありましたのでご紹介します。

年金制度と戦争
民間の公的年金制度は太平洋戦争当時に制定され、戦争と密接に関係があるとも指摘されています。また、もっとも古い年金制度は1875年の軍人への恩給です。2015年は恩給制度発足から140年になります。太平洋戦争を境に前後70年で大きく変わった年金制度を振り返ります。 (東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/daizukai/2015/CK2015080602100018.html

亀岡秀人氏によって『歪みはいつからか』と題して書かれた記事によれば、
「年金制度は、140年前、明治の軍人への恩給制度から始まり、次いで官吏へ支給され、国に忠実に仕える特権的な人々を対象とした『恩恵的な制度』として発展する。西南戦争をはじめ、のちの日清・日露戦争など戦争と密接に関係してきた。その後、太平洋戦争では、労働者年金が制度化され、当初、軍需工場などで働く男子だけが対象だったのが、戦局悪化で女子労働者まで加入対象になっていくことになる。いずれもその目的は戦争遂行に欠かせない生産力増強のための戦意高揚策であり、あくまで国に仕えたものへの恩恵的年金だった。
 敗戦をへて、はじめて年金を含む社会保障は国民の権利として確立し、国民皆年金を実現している。
 しかし、不祥事が繰り返されたり、年金制度への不信感が広がる背景には、国が恩恵的に与えてきたという戦前までの本質と、戦後、獲得した国民の権利のせめぎ合いがいまだに続いているからといわざるを得ない。
 歴史を振り返ると、年金制度は国が向かう方向を映し出している鍵といえる。〜年金と戦争の歴史から何を学び取るのかが問われている」(「歪みはいつからか」亀岡秀人ー東京新聞 世界と日本 大図鑑シリーズNO.1211より)
 
 政治家や官僚の中には、また国民の一部にも、いまだに年金制度に「恩恵的制度」的感覚が残っているのかもしれません。もし戦後あらたに出発した年金制度を皆が「国民の権利」として認識していれば、「消えた年金問題」や「漏れた年金問題」など不透明な行政の有り様を見過ごしていたでしょうか? 世代間の不公平やそれによる保険料未納問題などに、もっと早くから合理的な対応を要望したのではないでしょうか?
「恩恵的年金制度」がスタートして140年。「国民の権利としての年金制度」がスタートして70年。これからの70年をどうするのか? この不思議なサイクルが、私たちに「気付き」を問うているように思えてなりません。

参照:「年金は国の根幹ー国・国民がすべきことー」(2014『お元気ですか4月号』エッセイ)
※無断転載を禁じます。©(株)ビスタ


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